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熱海温泉の歴史秘話
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天下人・家康の心身を癒した源泉
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かつて、東日本最大の歓楽型温泉地として知られた熱海。古くは1500年も前の紀元5世紀ごろ、海中から熱湯が湧き出して魚が死んだために「熱海」という名が付けられたという伝説が残る。戦国時代、豊臣秀吉が小田原攻めで北条氏を滅ぼしたのち、関東一円は徳川家康が治めることとなったのは有名な話。その家康だが、なんと熱海に2度訪れたという記録がある。1度目は慶長2年(1597)、2度目は征夷大将軍に任命された翌年の慶長9年(1604)、それぞれ1週間ほど滞在、湯治をしたというのだ。 1度目は変装してお忍びで訪れたともいわれ信憑性に乏しいが、2度目は家臣や2人の息子を連れて来たという記録が残っている。家康は熱海の湯を大層気に入り、後年京都で病気療養中の吉川広家の見舞いのために、わざわざ熱海の湯を送らせたこともある。こうした逸話が残るほどだから、いかに熱海の湯が名高かったのかが伺えよう。 3代将軍・家光は、熱海に御殿を造らせたが、多忙のせいか一度も訪れることはなかった。しかし、その頃から熱海大湯の湯は頻繁に江戸城本丸、西の丸へ送られ続けた。とくに8代吉宗は熱海の湯を好み、8年間に3600樽以上も運ばせたという。 熱海の温泉街には『熱海七湯』と呼ばれる7つの源泉湧出地があり、その各所に石碑と案内板が設置されている。中でも代表的なのが『大湯』(上写真)で、家康が湯治をしたのも江戸に運ばせたのも、ここから湧き出ていたものだった。世界的にも有名な間欠泉(自噴泉)で、かつては1日6回ほど勢い良く噴出していたが、関東大震災や伊豆地震などの影響で残念ながら止まってしまった。昭和37年、町が観光用に人工的に復活させ、機械仕掛けながら、現在は数分おきに湯を吹き上げる様が見られる。また、この大湯のすぐそばに日帰り温泉施設の『日航亭大湯』がある。もともとは旅館だった建物をそのまま使用しており、落ち着いた風情の中で入浴が楽しめる(入湯料1000円)。 さて、将軍家御用達の栄誉を賜った熱海温泉だが、江戸時代から残っている宿は実はほとんどない。唯一といって良いのが、東海岸町の『古屋旅館』である。創業は文化3年(1806)だから、11代将軍・家斉の時代。それからちょうど200年もの間、熱海の歴史を見続けてきた。また、この宿は先に述べた『熱海七湯』のひとつである『清左衛門の湯』を所有し、循環せず贅沢にかけ流している。江戸時代から湧き続ける、本物の湯を堪能できる宿でもあるのだ。 かつての栄華は影を潜め、今やガイドブックにもほとんど取り上げられなくなってしまった熱海温泉。しかし、東京にも近い好立地に加え、その刻んできた歴史や優れた泉質は確かなものだ。この名湯が再び脚光を浴びる日は来るのだろうか。(文・写真/上野哲弥) 【人物紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・・ ■≪徳川家康(とくがわ いえやす)≫ [1542〜1616年] もとは三河(愛知県)の豪族・松平広忠の嫡男で、今川家の人質として不遇の少年時代を過ごす。独立後、織田信長と同盟して着実に勢力をのばし、豊臣政権下では五大老筆頭となる。秀吉死後は関ヶ原の戦い、大坂の陣に勝利し、名実ともに天下の覇者となる。徳川幕府初代将軍となり、江戸300年の礎を築いた。 ■≪吉川広家(きっかわ ひろいえ)≫ [1561〜1625年] 中国地方の戦国大名・吉川元春の三男で、毛利元就の孫にあたる。主の毛利輝元とは従兄弟の間柄。兄の元長が病死したため、吉川家の家督を継ぐ。関ヶ原においては南宮山で傍観に徹し、東軍(家康)の勝利に間接的に貢献。朝鮮の役にも参戦した。のち、初代岩国藩主となる。 |
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1500年以上の歴史を刻んだ湯と街並みを味わう
“熱海の海岸 散歩する 貫一お宮の 二人連れ〜”。尾崎紅葉の未完の大作『金色夜叉』でも有名な熱海は、1500年以上の歴史を誇る温泉地。海底から温泉が湧き上がり、魚たちが焼け死ぬほど海が熱くなったことから「熱海」になったと言われている。かつては徳川家康、8代将軍徳川吉宗にも愛され、伊藤博文、大隈重信といった明治の元勲たちはしばしばこの地で重要な会議を持ったという。現在は、再び熱海の原点に戻ろうとする動きも高まっている。刻まれてきた時間に思いを馳せながら、名物温泉まんじゅうを味わうのもまた一興。疲れた体は、少ししょっぱいお湯でゆっくり癒そう。
●住所:熱海市 ●立ち寄り共同浴場数:0件