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草津温泉の歴史秘話
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源頼朝を温泉に案内した湯本一族の興亡
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草津には、3つの開湯伝説がある。5世紀ごろ、日本武尊が東征の折に発見したという説。行基が薬師堂(現在の光泉寺内)を開基した際に開湯したという説。そして、建久4年(1193)8月、源頼朝が浅間山での巻狩りを行なった際に立ち寄って発見したとする説だ。『吾妻鑑』には、頼朝が草津で入湯したことが記されており、その場所に頼朝が腰掛けた石が残っていたことから『御座の湯』と呼ばれた。現在は『白旗の湯』と改称された共同浴場が、温泉街中央の湯畑のそばにある。その隣には『頼朝宮』という祠が、源泉場の囲いの中にひっそりと建つ。1783年に頼朝を祀って造られたものだ。 頼朝が本当に草津を訪れたかどうかは『吾妻鑑』の記述以外に確たる資料がない。ただ、頼朝の案内役を務めた細野御殿助という土豪が、その功によって頼朝から湯本姓と家紋を与えられたとされている。湯本氏は領主としてこの地を治め、湯治客から湯銭(入湯料)をとっていたが、分家してそれぞれが湯宿を経営するようになった。ちなみに『日新館』『ての字屋』など、古くからある旅館はこの頃の創業で、湯本氏の子孫を名乗っている。戦国時代になると、草津周辺は、その場所柄から武田信玄の治めるところとなった。湯本氏が文献で活躍しているのはこの頃なので、頼朝を案内したエピソードは後世の作り話という見方もある。 信玄は直接草津を訪れたことはないようだが、文禄10年(1567)草津で湯治中の甲州兵が、里人に狼藉を働いたのを戒めるため、しばしの入湯禁止令を出している。また永禄2年(1559)には、草津で湯治中の小幡信貞が、本拠の国峰城を敵に乗っ取られ、やむなく信玄に降ったという、ちょっと情けない逸話も残されている。 湯本氏は、武田の配下にあった真田氏(真田幸隆、真田昌幸)に仕えることとなり、草津の湯治客からとる湯銭(入湯税)の一部を真田氏に納めていた。真田の領地は上田や沼田といった山間部にあったから米の収穫量は少なく、湯銭は重要な財源だったようだ。また、湯本氏は武田信玄や榊原康政(徳川家康の家臣)に草津や白根で採れた硫黄を贈っている。この時代、硫黄は鉄砲の火薬として重宝された。戦国時代には、湯本氏の案内で多くの大名が訪れたが、それはまた次回で述べたいと思う。 湯本氏は真田旗下の先鋒として戦場にも出た。長篠の合戦では当主の湯本善太夫が討死し、三郎右衛門が跡を継いでいる。大坂の陣では、真田信之に従って東軍に組し、皮肉にもかつての主の息子・真田幸村の軍と刃を交えた。 江戸時代に入ると、沼田藩真田家にそのまま仕え温泉経営にあたる。しかし、湯本本家は寛文5年(1665)に断絶、沼田の真田家も改易となり、草津は幕府の直轄領となった。このとき草津には御座の湯・脚気の湯・鷲の湯・綿の湯・滝の湯の五湯があり、既に湯屋は60軒あったと記録されている。料理屋が軒を並べ、楊弓、吹矢などの娯楽施設あり、落語家を招いての宴席ありという盛況ぶりは、今日と同様、いやそれ以上の賑わいであったに違いない。(文・写真/上野哲弥) 【人物紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・・ ■≪源頼朝(みなもとの よりとも)≫ [1147〜1199年] 義朝の三男。妻は北条時政の娘政子。鎌倉幕府の初代将軍。神号は白旗大明神。平治の乱で平家に捕らわれ伊豆の蛭ヶ小島に流される。1180年平氏討伐の兵を挙げ、関東を平定して鎌倉に本拠を構えた。弟の範頼・義経を指揮官として派遣、壇ノ浦に平氏を滅ぼした。1192年に征夷大将軍に任じられて幕府を開き、武家政治の創始者となる。 ■≪真田昌幸(さなだ まさゆき)≫ [1547〜1611年] 真田幸隆の三男。人質として武田家に出仕。兄二人が長篠の戦いで戦死したため真田家を継ぐ。武田家滅亡後独立し、上杉・北条・徳川などの強豪を相手によく渡り合った。関ヶ原の戦いでは長男の信之と袂をわかって西軍に属し、次男の幸村と共に徳川秀忠の西上を阻止。しかし石田方が敗北したため、高野山に蟄居させられ病没した。 |
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“天下の名湯”草津には本物の温泉がある
辺り一面を覆う湯煙から、強烈な硫黄臭が漂う。7つの木樋から音を立てて流れる湯滝に、滝壷に輝くブルーグリーンの湯。幻想的な光景に、どこからか「草津よいとこ一度はおいで〜」と草津節が聞こえてきそうで思わず心が躍る。「天下の名湯」「日本三名湯」の肩書きに応える草津の姿が、湯畑にはある。草津独特の入浴法が“時間湯”。草津節に合わせて大きな板を使った湯もみで湯を冷ました後、湯長の号令でいっせいに3分間だけ入浴。高温の湯を源泉のまま浴するために工夫された方法だ。有名な湯もみは、18ある共同浴場のうち「熱の湯」で見学可能。草津には、本物の温泉がある。
●住所:吾妻郡草津町草津 ●立ち寄り共同浴場数:18件