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藪塚温泉の歴史秘話
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徳川家発祥の地に残る、新田義貞の入湯伝説
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藪塚の小さな町並には「秘湯の里」という呼称がよく似合う。東武鉄道線の駅から歩いて10分ほどの集落に宿が5〜6軒。周辺には一面の田園風景が広がり、入口には6世紀末につくられた西山古墳がそびえる。町自体は四万や草津のような温泉情緒を醸しているわけでもなく、ごく普通の住宅地にも見える。しかし温泉の歴史は古く、一角にある社は『温泉神社』または『湯権現』と呼ばれ、群馬で「温泉」と名の付く神社が現存するのは、藪塚だけであるという。 この『温泉神社』は7〜8世紀頃の開基伝説がある。当時、山の岩窟から温泉が湧出し、里人はその湯に入浴していたが、ある時から冷泉になってしまった。里人は嘆き悲しんだが、土地の古老の夢枕に、日頃信仰していた山中の薬師如来が現れ、「悲しむなかれ。この水を沸かせば万病に効く霊泉になる」と告げた。以来、藪塚ではこの水を温めて入浴するようになったという。実際、藪塚の源泉は17℃ほどの冷鉱泉(弱アルカリ炭酸泉)である。神社の前に位置する、創業200年の老舗『開祖・今井館』ではこの水を「巌理水」と呼んで守ってきた。近くの『藪塚館』なども地下に源泉を所有しているが、成分は同じ冷鉱泉である。『藪塚館』の女将によれば、江戸から明治の頃は国定忠治の影響か、博徒・侠客が多く訪れ、一般の客は近寄り難い雰囲気があったらしい。 そんな藪塚には、新田義貞の入湯伝説もある。元弘3年(1333)、鎌倉幕府を攻め滅ぼした義貞は、その戦いの際に将兵を湯治させたという。藪塚のすぐ南は、義貞が拠点とした新田荘(現・新田町)で、ゆかりの史跡が点在しているから、こうした逸話が生まれてもおかしくはない。新田町にはその居館といわれる『反町館跡』や、出陣の際に兵を集めた『生品神社』が残っている。さらに、東の太田市郊外にある金山には、新田一族によって築かれた金山城の遺構がある。この城は、戦国時代には小田原北条氏が占有し、武田や上杉の猛攻にも耐えた山城として名をあげた。現在、本丸跡には明治8年に建てられた新田神社があり、地元の英雄・義貞が奉られている。 金山城下には『大光院』という大きな寺がある。戦国の後に江戸に入った徳川家康が、祖先とする新田義重を追善供養するために建てたものだ。義重の子・義季は徳川(徳河)姓を名乗っており、家康は松平から徳川に姓を改めた際、祖先・義季の姓を譲り受けたという。家康が新田源氏の末裔を主張したのは、征夷大将軍の位を授かるのに「源氏の血筋」という資格が必要だったからともいわれる。真偽はともかく、そのために新田荘は徳川家発祥の地とされ、江戸幕府の庇護を受けて栄えた。現在はその面影もない静かな町並みだが、戦乱の歴史をくぐり抜けてきた冷泉に身を浸し、古の趣を肌で感じるも一興だろう。(文・写真/上野哲弥) 【人物紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・・ ■≪新田義貞(にった よしさだ)≫[1301〜1338年] 鎌倉末・南北朝初期の武将。源義家の孫・新田義重を祖とし、上野国新田荘を本拠とした。専制政治を敷いた鎌倉幕府に反旗を翻し、1333年(元弘3)5月、生品神社で一族とともに挙兵。鎌倉を攻略し、北条高時を自害させて倒幕に成功する。建武政権下で重用され諸国を転戦するが、足利尊氏の軍に各地で惨敗。最期は越前藤島で足利一門の斯波高経との合戦中、矢に当たって討死した。 |
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田園風景の中に広がる「木枯紋次郎」の世界
「あっしには、かかわりのねぇことでござんす」の名セリフで有名な笹沢左保原作の小説「木枯紋次郎」。テレビドラマや映画にもなり、一世を風靡した股旅ものだ。その紋次郎の故郷を再現したのが、藪塚温泉から徒歩5分のところにある「三日月村」。一文銭に煮売屋など、まるで江戸時代にタイムスリップしたような空間が待っている。藪塚駅を降りると、一面に広がる田園風景。その田園の中を通り抜けた小高い丘の中に佇むのが温泉街だ。各宿からの見晴らしは絶好で、遠くに望む上州の山並みや秋の収穫前に輝く黄金の世界は圧巻。名産・小玉スイカをほおばった後は、長い楊枝をくわえてさすらうのも、また粋というもの。
●住所:新田郡藪塚本町薮塚 ●立ち寄り共同浴場数:0件