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【連載】ご当地グルメ、忘れえぬ味「第3回 新潟・糸魚川の紅ズワイガニ」

【連載】ご当地グルメ、忘れえぬ味「第3回 新潟・糸魚川の紅ズワイガニ」

2016年12月に未曾有の大火に見舞われた新潟県糸魚川市。僕も同じ新潟県(僕は新発田市)出身なので、とても心配していました。

その翌年の4月、糸魚川市観光協会主宰のプレスツアーにお招きいただきました。火災の被害を受けたのは駅前の一部。雁木造りが連なる町並みが失われるなど被害は深刻ですが、復興のためには観光の力が欠かせません。

“糸魚川の元気な部分も見てほしい”とのこと。

もちろん、喜んで出かけました。

「奴奈川姫(ぬなかわひめ)」の銅像

駅前にはかつてこの地を治めていたとされる「奴奈川姫(ぬなかわひめ)」の銅像が

到着すると、まずは被災地の視察。駅前は特に変わった様子がありませんでした。本当に大火災が起きたの? と思うほど。しかし、ほんの数十メートル歩いて路地を曲がった途端、いきなり焼け野原が現れました。

糸魚川市大火災後の様子

大火災後のH29年4月に撮影

コンクリートの土台以外、建物は跡形もありません。

聞けば、今回焼失した地域は84年前(昭和7年12月)にも大火災で焼失。その際に復興された木造建築が立ち並んでいたといいます。火災の復興のための建物がまた火災で焼けたなんて、不運としか言いようがありません。

冬場は山から川に沿って海へと吹き下ろす風が強く、昔から火災が多い地域なのだとか。これもまた自然の厳しさなのでしょう。

あれから1年。全焼した老舗酒造会社「加賀の井酒造」の工場も再建されたそう。この調子でどんどん復興が進んでほしいものです。

鉄道ファン垂涎のスポットが盛りだくさん

被災現場を視察した後は、糸魚川の魅力探訪です。

糸魚川の知られざる魅力その1。ファン垂涎の「鉄道スポット」が盛りだくさん!

まず訪ねたのは、北陸新幹線駅高架下の「糸魚川ジオステーション ジオパル」。こちらでは、平成22年まで大糸線で活躍した人気車両「キハ52-156」の実車を展示しています。間近で見るだけでなく、実際に乗車もできます。

大きなプラレールのジオラマや、糸魚川の街並みを再現したHOゲージとNゲージの大型ジオラマを常設。実際に操作もできます(500円で30分間)。車両には小型カメラが仕込まれており、その映像を見ながら運転すれば、まさに運転手気分! 子どもたちが楽しそうに遊んでいました。

糸魚川市街地のジオラマ

糸魚川の市街地を再現したジオラマ

施設名称 糸魚川ジオステーション ジオパル

住所 新潟県糸魚川市大町(糸魚川駅1階アルプス口)

交通アクセス JR・えちごトキめき鉄道糸魚川駅1階

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第三セクターの「えちごトキめき鉄道」が平成28年4月から運行しているリゾート列車「雪月花(せつげっか)」にも乗りました。

えちごトキめき鉄道

糸魚川駅と上越妙高駅を土日祝に1往復。途中の二本木駅では鉄ちゃん憧れ(?)の「スイッチバック」(向きを変えながら斜面を上り下りすること)が体験できます。

スイッチバック

これが噂のスイッチバック現場。小屋まで行ったら折り返し、少しずつ傾斜を登っていく

大きな窓で開放感抜群の車両は、越後杉や安田瓦など新潟県産の天然素材をふんだんに使用しています。

えちごトキめき鉄道の内部

糸魚川駅発の便で供されるコース料理は、先の大火で被災した地元の老舗料亭「鶴来家」が監修しています。

列車内で提供されるコース料理

新潟の地酒も揃っていて、酒好きにはタマりません!

名称 えちごトキめきリゾート 雪月花

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マニアックなところでは、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの「筒石駅」。こちらは全国でも珍しい“トンネルの中にある駅”です。

トンネルの中にある駅「筒石駅」

暗闇に浮かび上がるヘッドライトは、まさにミステリー・トレイン

電車に乗るためには、300段近い階段を降りなければなりません。ホームは昼でも薄暗く、ヒンヤリしています。ここは夏に来たかったですね〜。

名称 筒石駅(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)

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ベールに包まれた日本最大のヒスイ王国

糸魚川の知られざる魅力その2。実は日本最大の「ヒスイ」の産地!

ヒスイの原石

フォッサマグナミュージアムに展示されているヒスイの原石

2016年に“国石”に選ばれたヒスイ(翡翠)は、日本では縄文時代から装飾品などに用いられてきました。天皇家に伝わる三種の神器の一つ勾(まが)玉もヒスイだと言われています。

その国内最大の産地が魚川市周辺。他県でも産出されてはいますが、宝石として使えるほど質の良いヒスイは糸魚川でしかとれないとのこと。

古代に国内で流通したヒスイのほとんどが糸魚川産で、朝鮮半島にも輸出されていたといいます。

ところが、奈良時代以降、国内でヒスイが利用されたという記録は残っていません。やがて、糸魚川でヒスイが採れること自体忘れ去られ、“日本にはヒスイの産地はない”“古代の遺跡から出るヒスイは大陸から持ち込まれたもの”という考えが、昭和初期まで常識となっていたのです。

なぜ糸魚川のヒスイは、歴史上から忽然と姿を消したのか?──

そんなヒスイを始めとする鉱石、化石、そして日本列島形成のカギを握るフォッサマグナについて学べるのが、糸魚川駅から車で10分の「フォッサマグナミュージアム」です。

フォッサマグナが学べるCG

最新のCG映像でフォッサマグナが学べる

ヒスイが歴史から消えた謎についての解説コーナーもあるので、ヒスイの謎に興味を持った方、ぜひ訪ねてみて下さい。「フォッサマグナミュージアム」では、化石採取の体験もできます(別料金)。

フォッサマグナミュージアム

屋外の敷地に3億年前の地層から運んできた石がズラリ。それをハンマーでトンテンカンテン〝発掘〟作業ができるのです。

世紀の大発見なるか?とった化石は持ち帰ることができます。(2時間300円)

名称 フォッサマグナミュージアム

住所 新潟県糸魚川市大字一ノ宮1313(美山公園内)

交通アクセス JR・えちごトキめき鉄道糸魚川駅よりバス「美山公園・博物館線」で約10分

北陸自動車道糸魚川ICより車で約8分

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安い!うまい!カニにかぶりつく!

糸魚川の知られざる魅力その3。実は「紅ズワイガニ」の産地!

カニといえば福井や鳥取が有名ですが、糸魚川も日本有数の水揚げ量を誇ります。糸魚川駅から車で25分の道の駅「マリンドリーム能生(のう)」では、カニの直売所が軒を連ね、ゆでたてのカニを山盛りで販売しています。

その名も「かにや横丁」。買ったカニは施設内で食べることができます。値段はサイズによって1パイ500円~4,000円。値切ればもっとお得に買えるそうですが、十分安いですよね。

かにや横丁

9軒の直売所が並ぶ「かにや横丁」は日本海最大級の規模

数千円もする大きなサイズのものは主に贈答用。味は変わらないというので、小さめのサイズを幾つか購入しました。

お盆のようなプラスチックの箱にドッサリ山盛りのカニ。これだけでテンションが上がります。それを、別棟の飲食スペースに持っていき、後は思う存分、カニにしゃぶりつくだけ!

身が透き通るほど新鮮な紅ズワイガニ

カニを食べると無口になるといいますが、まさにその通り。同行したメンバーは全員黙々とカニと格闘していました。もちろん僕も。

カニってこんなに食べるのが面倒くさいのに、なんでこんなに食べたくなっちゃうんでしょう。あ、それだけ美味しいからか。面倒を超越した旨さがカニにはあるのかもしれません。

いやー、食った食った!

カニだけで腹いっぱいなんて、もう二度とないかも……。

糸魚川の紅ズワイガニ。僕にとっては、忘れられないというか、“忘れたくない味”となりました。

名称 マリンドリーム能生

住所 新潟県糸魚川市能生小泊3596-2

交通アクセス えちごトキめき鉄道能生駅よりタクシーで約5分 北陸自動車道能生ICより車で約5分

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源泉かけ流しの湯に骨の髄まで癒される

宿は、糸魚川市街から早川という河川を車でさかのぼること30分の「笹倉温泉 龍雲荘」。創業90年の、糸井川を代表する老舗温泉旅館です。

こちらは、地元の素材や旬の素材を、温泉水を使って調理した料理が自慢。その温泉の泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉。昔で言う重曹泉で、いわゆる美人の湯です。

そして、お風呂がバラエティに富んでいるのも特徴。メインの大浴場は「龍雲の湯」。上側・下側の2つあります。上側は岩囲みの露天風呂付きの大浴場で、横に川が流れており、森林浴も楽しめます。下側は木のぬくもりがやさしい桶風呂と寝湯付の大浴場です。上下は時間帯で男女が入れ替わります。

「千寿荘展望風呂」は、杉板張りの開放感あふれる半露天風呂です。屋外には直径1mの信楽焼きの陶器壺風呂があり、目の前は渓谷。壺湯にのんびり浸かりながら、ぼーっと景色を眺めていると、面倒なことなどすべて忘れられます。

壺風呂

壺風呂なら、温泉と景色を独り占め!

一番印象深かったのは貸し切り風呂の「千寿の湯」。

源泉かけ流しの風呂

小さいけれど、源泉かけ流しの風呂

昭和レトロなこじんまりとした内風呂でが、こちら“源泉かけ流し”なんです。そう、水も一切加えず、濾過もしない、湧きたての温泉。

混ざりっけなしの温泉

混ざりっけなしの温泉は、日本酒でいえば無濾過生原酒?

だからお湯には湯の花が。一見ゴミのように見えますが、これは温泉成分の固まりです。

湯の花

湯の花は濾過していない証拠!

開放的な露天風呂もいいですが、こういうこじんまりした内湯も大好き。なんか落ち着くんですよねえ。子供のころも、よく押入れの中に閉じこもってマンガ本とか読んでたし……って、そんなに狭くないか。

施設名称 笹倉温泉 龍雲荘

住所 新潟県糸魚川市大平5804

交通アクセス JR・えちごトキめき鉄道糸魚川駅よりバス約40分(2名以上で送迎バスもあり・要予約) 北陸自動車道能生ICより車で約35分

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鉄道、ヒスイ、化石、カニ、温泉

なんとも脈絡のない組み合わせですが、それだけ観光資源が豊富ということ。

中でもカニは、新潟県が定めた禁漁期(1月~2月末)を除き、ほぼ1年中楽しめます。

“カニで腹いっぱい!”を体験してみたい人は、ぜひ今すぐ糸魚川までGO!

「糸魚川市観光協会」

http://www.itoigawa-kanko.net/

※本文中の情報はすべて取材時のものです。最新情報は施設の公式サイト等でご確認下さい。

(2018年4月3日公開)

いからし ひろき
東京在住のライター・構成作家。食・酒・旅を主なテーマに、「日刊ゲンダイ」「おとなの週末」などの雑誌、テレビ、ウェブで活躍中。日本旅のペンクラブ理事。 (プロフィール写真:kurekaoru)

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